ボリビアでの日々の出来事

さて途上国は生活しているだけでいろいろな事件や出来事に出くわす、ある意味予測のつかない世界だと思います。ボリビアも例外ではありません。

その1 首になったドライバー

ある金曜日の午後、職場の運転手と翌週の出張についての打合せをしました。「じゃあ月曜日の9時前の出発だから準備しておいてね」と言ってわかれ、しばらくするとその運転手から「済みませんが、帰る前にこちらへ来てもらえませんか」という電話。職場を出る前に寄ってみると何か浮かない顔をしています。「ちょっとこれを見てくれ」と彼が差し出した紙には「ご苦労様でした。良かったら職業安定所を紹介しますよ」という人事部からの文字。なんと彼はいきなり首、それもこの日の前日付けで首になっているではないですか。

いきなり首にすることがあることは耳にしていましたが、まさか自分たちのために仕事をしてくれている人の身にふりかかるとは。冗談ではありません。彼は農業省の職員ですが、日本が供与した車両の専属運転手で、日本人の出張には必ず担当している、こちらにとっては言わば重要人物です。早速対策をとることにしました。

まず通知を出しているのは人事部長ですが、この人に直接掛け合っても埒があかないことは目に見えています。それでいきなりですが、副大臣に掛け合うことにしました。副大臣は僕の仕事の担当で、先日も二日間ほど一緒に出張したので面識があります。電話をしてみると「まだ帰ってないけど会議中です」とのこと。会議が終わった頃を見計らって、副大臣のオフィスに乗り込みました。

「副大臣、まずこれを見てください。彼は日本人と働いている運転手で、来週も出張の予定が入っているのですが…」と言いかけると、副大臣。無論彼が首になったことなど知らなかったのでしょうけど、ちょっと驚いた顔をして、「わかった。何とかする。彼は来週以降も働いてもらう。」あっけなく話がついてしまいいささか拍子抜けしましたが、さて実際にはどうなるか。

その2 門番の借金

ある日の朝、アパートでばたばた出勤の準備をしているとチャイムが鳴りました。朝早くから誰かと思って覗いてみると、このアパートの入り口にいる、言わば門番のおじさんです。以前にも手紙を届けてくれたことがあったので、またそうかな、と思ってドアを開けると、「セニョール、まことに申し訳ないお願いなんだが。実は給料をまだ払ってもらえないんだ。30ボリ(約500円)貸して貰えないだろうか?」

僕はこういう時は、過大な要求でなければ貸してあげることにしています。多少のことでもしてあげれば、途上国の人たちはそれ以上に親切にしてくれることも多いのです。無論、ほとんどお金が返って来るだろうとは思っていません。「ああいいよ」と言ってお金を渡し、着替えてから出てくると、彼が下の階の部屋の呼び鈴を押しているのが見えました。これは確実にお金は返って来ないようです。

その3 卵のプレゼント

ちょっと古い話になりますが、復活祭、つまりイースターは日本ではクリスマスほどポピュラーではありませんが、キリスト教国ではクリスマス同様に重要なイベント、そして付き物はタマゴです。以前は本物のタマゴを使っていたのでしょうけど、最近出回っているのはタマゴをかたどったチョコレートです。中に小さなおもちゃが入っていたりします。

さて4月のイースター明けの頃、隣のオフィスの秘書さんが僕のところへチョコレートのタマゴを持ってきました。「省内にいるチカ(女の子の意味)があなたに、って。」

「え?チカって誰だろう?」と思いましたが、この省にいるのは、なぜか旦那に逃げられたり離婚したりして苦労して子どもを育てているお母さんたちばかり。

結局この「チカ」も既に成人した子どものいるお母さんだとわかりました。要は仲の良いお母さん秘書どうしが、「ちょっと今度来た日本人単身赴任みたいだから、ご飯でも誘ってあげましょうよ」ということになって仕掛けてくれた、いたずらだったようです。


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